二天堂鍼灸院 「以外で」受けた研修状況・修行内容について
二天堂鍼灸院「以外」で受けた研修状況・修行内容について
当ページでは私が二天堂鍼灸院で見学研修を受ける前、まだ私が鍼灸学生だった時期の鍼灸学校の学業以外の「独自に受けてきた研修内容(解剖学的な鍼治療の分野限定)」、「刺鍼技術の習得状況」についてご紹介しています。
私が「学生3年間の研修状況、解剖学的刺鍼技術の習得状況、習得レベル」にフォーカスした解説ですので、経穴使用の治療法、他分野の治療理論などの研究や鍼灸学校卒業後の中国留学の研修内容は省略しています。
注意事項!(技術の習得について)
このページの説明は、「私個人の研修経歴と技能習得レベルの達成度」を紹介するものであり、鍼灸師の職業訓練の理想論の提唱、教育制度を批判をするための説明ではありません。
しかしながら、「私の研修内容と技能習得レベルの達成度」、特に「私の研修に対する動機付けやスケール感」を正確にお伝えするには、業界での職業訓練状況、バックグラウンドにについても多少触れなければなりません。
具体的には、鍼灸学校での訓練内容、免許取得後の一般的な職業訓練状況などです。
鍼灸学校における訓練状況と免許取得後の一般的な職業訓練状況について
日本の鍼灸学校での実技の訓練は、規定の実習時間内に行われていますが、鍼灸学校の修学期間3年の授業の多くは、基礎教科などの学習に費やされます。これにあと国家試験対策が加わり、全体として座学の時間が多く、この間の実習時間で習得できる技術は基礎的、基本的な内容となっています。
その意味では専門学校でのたった3年か4年間の訓練だけでプロの鍼灸師レベルの技能を習得することはそもそも不可能なことであります。
要は鍼灸学校とは、「自動車免許取得での教習所のようなところである」ということです。これは学校の教員の説明でも出ていた表現でもあり、私の主観や悪口ではありません。鍼灸学校に入って実際に学んだことがある者なら誰でも知っているレベルの事実です。
ということですので、一般論として学生が免許取得後にプロレベルの鍼灸師になるには、それ相応の研修を受ける必要があります。たいていは鍼灸学校卒業前後に自前で研修先となる鍼灸院や鍼灸整骨院を探して、そこに就職かインターン的に入ってそこで修行を積むか、弟子を取ってくれる徒弟の鍼灸院を見つけてそこで修行するかどちらかのパターンということになります。
しかしながらそもそも鍼灸師のためになる研修先はまったく多くありません。
なぜなら、これまでの日本では鍼灸学校が増え続けていて、マーケットとしては完全に過当競争状態にあるからです。
当サイトは「私の研修歴の説明」というテーマで作成していますので、研修環境についての話しに深く立ち入りませんが、そもそも鍼灸というものは、努力をたくさんしたから誰もがその分比例して技術が身につくような技術ではなく、最終的に到達する技術レベルは学習者個人が持つ資質やセンスの有無に大きく左右される「職人的な業種」であります。
なので、先ほども述べましたが、鍼灸学校を卒業して国家資格を有しているからという理由だけで有資格者全員が「将来一人前の鍼灸師になれる」という保証はどこにもありませんし、また、独自にたくさん本を読んで知識を増やしたからとか、あるいは有名院で何年も長期間修行したからといって「必ずしもそこの院長と同等レベルの技能を獲得できる」というわけでもありません。
技術習得の難易度について
鍼灸の技術習得の難易度、習熟までのステップアップは語学の習得に似ているかと思います。
例えばこれまでの語学学習の一般論では、文法や語彙力などの知識を理解、暗記をして、学校やTo○○cスコアなどの評価基準を一定レベル以上にクリアしてさえいれば、「学歴取得」となり、修業年限修了者 としての目的を達成したことになりますが、履歴書に「私は英語ができます」とか「中国語習得者」と書くことはできません。
要は、真の意味での「語学の習得」は、知識の習得だけでは不十分で、技能として自分の身に着いていなければ「実践で役に立つ技術ではない」ということです。
自分以外の他の人から客観的に「語学ができる」、「語学をマスターした」と認めてもらうためには、実際の会話や文章のやり取りで一定以上レベルで意思疎通ができなければ、「私は外国語ができます」とか「マスターした」とは言えない、ということです。そうでなければ、せいぜい「学校のテストでは成績が良いです」としかアピールできません。
もう少し遡っての説明で例え話を付け加えるなら、「語学を習得する目的」で語学を勉強した際、いくら優秀な先生から「正確な発音」を教えてもらったり、「正統な発音の音源」をプレーヤーから聞かせてもらって、一生懸命勉強したとしても、それを学んだ生徒全員が必ずしも発音能力を獲得できるとは限らず、最終的に達成できる語学レベルも習熟までにかかる時間も、生徒個々の素質に大きく左右され、一定ではないということです。
ここで更に別視点からの説明も加えますが、そもそも「鍼灸学校で教員として指導している先生の技術力は全員プロレベルの技術力(治療効果発揮)があるのか」というところにも留意する必要があるかと思います。
もちろん、教員の役割は、生徒に対して教科書の指導範囲に沿った基本技術を伝授することであり、生徒を国家試験に合格させることです。更に鍼灸学校が推す流派も学校によって様々ですので、いろいろな面を含めると一概に評価はできませんが、一般論として教員は、自動車免許の教習所の教官のような存在であるということです。
したがって、「教員の役割としての技能レベル」と「日々実際の患者さんを相手に治療を施す治療現場の鍼灸師の技能レベル」、この両者の目線、技能レベルは分けて評価する必要があるかと思います。
要は、この項目の説明で言いたいことは、「はり師きゅう師免許を取った鍼灸師がプロ鍼灸師になるということは、他の職業でプロレベルになるのとは大きく異なり、誰もが簡単に到達できるものではない」ということ、そしてそれは、「現行の教育システムとは関係無い領域であり、教育の良し悪しで左右されるばかりでもない」ということでもあります。
「技術の指導、習得、継承」には常に限界があるということであります。
当ページでは、以上の点にご留意いただき、この先の項目でご紹介する「私個人の研修経歴と技能習得レベルの程度」と「技術継承の状況」をお読みいただけたらと思います。
どうかこの説明内容を根拠にして他の鍼灸院や鍼灸学校に対して批判や苦情を入れないようにしてください。よろしくお願いいたします。
深鍼の刺鍼技術習得について
--- スキル獲得に対する基本的価値観・哲学 ---
(類似のご質問:「腸骨筋に鍼を打つ技術はありますか?」の疑惑)
別ページでも少しだけお伝えしていますが、当方は学生時代にすでに「大腰筋」や「腸骨筋」などの深鍼の刺鍼技術を習得しており、基本的には開業するまでの間に「身体上のたいていのすべての筋肉に安全に深刺の刺鍼」ができるようになっています。正直なところ、私個人的には深鍼を「特別に難しい技術だ」と、感じたことはあまりありません。(注1、注2、注3)
ただ、人によって「鍼を深く打つことはかなり難しい」と感じることがあるようですので、その場合は当然、鍼灸師それぞれ自分のレベルに応じたトレーニングを受けることは必要だと思います。
注1:この説明は、鍼灸師が深鍼を学ぶ段階ですでに十分な解剖学知識を持っていることを前提にしています。解剖学は鍼灸学校で学ぶ基礎知識であり、国家試験をパスするのに必須の知識であります。ただし、知識を暗記できたとしてもそれは机上の知識であり、それを立体イメージに昇華し把握できるかどうかはまた人それぞれ個別の能力、トレーニングが必要です。以上のことを十分ご理解したうえで当ページの説明をお読みください。
注2:解剖学上の位置的に鍼刺入が不可能な部位、およびその後の私個人の努力による「どこの鍼師も採用していないような深鍼技術のスキルアップ」は除外。
注3:当院の鍼治療では、治療に入る前の段階で患者の体質や病状など、解剖学的「正論」とは別の判断によって、「深鍼を禁忌」とする判断、あるいは治療の際、「鍼の深度を浅く設定する」ことがあります。
もちろん一般論として、鍼を深度1ミリだけに刺すとか1センチまでしか刺入しないという浅い深度のみにしか刺さない鍼の技術よりかは、鍼を刺す深度を最大して鍼を深く刺す技術のほうがより難易度が高くなるのは当然であり、安全に鍼を深く打つにはそれに応じた解剖学の知識と立体像の認識力が必要となります。
ただしこの説明はあくまで、「鍼を安全に深く刺す」という解剖学的技術だけに特化して評価した場合(机上の正論)の話しであり、臨床現場上で必要とされる他の要素の判断材料、判断力、技術力一切は含まれません。
それから先程の [注意事項]で もお伝えしたように、そもそも鍼灸というものは、鍼灸学校に限らず、学外の講習や私塾に参加してそこで丁寧に教えてもらったからといって、「誰もが必ずプロレベルの技術を習得できる」とか、自分でたくさん努力をしたから「努力の分だけ確実に成長できる」というような質の技術ではありません。
要は鍼灸とは、「修業者の資質やセンスにも大きく左右される『職人技』の要素の濃い業種である」ということであり、人によって鍼灸師としてある種の能力が高ければ、その分能力を大いに発揮することができるということです。
またこれは、逆説の逆説になってしまいますが、その意味ではつまり、元来『器用』な人、立体認識力が『優秀な人』がわざわざ「不器用な人」、空間認識力が「劣っている人」と同じ内容の訓練、マス教育の指導を受けて技術を習得しなければならない、同じベースで成長しなければならないという理由はどこにも無いと考えます。
もちろんこれは私個人の経験値や知見を加味した考え、価値観ですので、絶対的に正しいとか、一般化できる話しでないのですが、有能な人には有能な人にとって最適な訓練法、修行ルート、チャンネルがあると考えます。
つまり、修行先を一か所だけに限定するとか、修行方法を一子相伝のようにタテ社会一元的に限定して捉えずに、「素質や能力の高さ応じて縦横無尽の多元活用も有り得る」という考えに至っております。それによって「最終的な技術の到達レベルも異なって当然」との考えであります。
以上の点にご留意いただき、冒頭でお伝えした、「当方は学生時代にすでに『大腰筋』や『腸骨筋』などの深鍼の刺鍼技術を習得していた」という事実と、「正直なところ、私個人的には深鍼を特別に難しい技術だと、感じたことはあまりありません。」の見解、それと次項以降の説明にご理解いただけたらと思います。
鍼灸研修歴
学生一年次の「整体院」での研修バイト
では「私が鍼灸学生時期に学業以外で得た独自の研修歴、二天堂鍼灸院以外で受けていた鍼灸研修歴」をご紹介していきます。
私は2004年に鍼灸学校に入ってから、かなり早い段階から独自に技術習得に努める行動に出ていました。つまり、鍼灸学校での実習とは別ルートの独自の技術習得のことです。
まず鍼灸学生1年次の夏にはすでに整体院でバイトを始めていました。こちらは揉みほぐし系の整体院で、施術代が1時間 4,300円の指名制の半ノルマ制で、2年近く勤務していました。
当時はまだ激安のフランチャイズチェーンが出ておらず、腕の善し悪しだけで勝負がしやすいマーケット環境でした。
しかしこちらでのバイトはどちらかというと収入目的ではなく、解剖学の基礎知識と、立体認識を高めるために戦略的にはじめた研修目的のバイトでした。
しかも、このお店には地元業界ではかなり有名なU先生がおられ、幸運にも私はこのU先生から直接から指導を受けることができました。
そして徐々に解剖学的立体認識力を高めることができるようになり、指名もいくらかもらえるレベルまでに上達することができました。その上、仲間の分も含め様々な現場の声、患者さんからの臨床知識を得ることができました。例えばお客さんからシ型肝炎のお母さんがプロの煎じ薬で大幅延命(80歳代)できた話し等、等・・・。
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「鍼灸専門の鍼灸院」での研修バイト
次に2年次の夏からはKK鍼灸院で研修バイトを開始しました。有給のバイトにしても無給の見習いにしても通常、鍼灸専門の鍼灸院での研修生募集は非常に非常にに少ないのですが、かなり幸運なことに私はこちらの鍼灸専門の鍼灸院で研修することができました。
このことがどの程度幸運なことなのかを少し説明しますが、大雑把な感覚ながらではありますが、基本的に街中で開業している鍼灸専門の鍼灸院の数は非常に少ないという現状があります。これに対して整骨院や鍼灸整骨院、マッサージ系は非常に多いです。鍼灸専門の鍼灸院に対して整骨院の数は優に10倍とか20程度は多いのではないかと思います。(いずれも2004~2006年時点)
業界の間の一般論として、鍼灸専門の鍼灸院で行われている鍼灸治療と鍼灸整骨院で行われている鍼灸治療の内容は大きく異なります。例外がまったく無いわけではありませんが、通常のパターンとして両者の鍼灸治療の内容にはかなりの開きがあり、異なる次元と思います。
なぜなら、例えば私が学生の時、その内多くのクラスメイトは「鍼灸の資格だけでは食べていけない」と感じて、「鍼灸科を卒業した後に柔整学校やマッサージ科の学校に改めて進学していった人がわりと多かったから」という事実もあるからです。それとこれも一概に言えることではありませんが、私が知る限りで「鍼灸整骨院として開業している整骨院のメイン業務が鍼灸治療だ」というような方針の整骨院はほとんど無いからです。
話しがそれてしまいましたが、お世話になったKK鍼灸院の院長は、私より20歳年上の「鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師」の先生で、当時開業約20年の経験者でありました。繰り返しになりますが、こちらは整骨院ではなく鍼灸専門の鍼灸院です。さらに鍼灸院とは別に在宅診療も行っていて、そちらには往診スタッフが数名おられました。鍼灸院院内では、午前と午後に鍼灸治療(2~30%はマッサージ施術)を行い、院長は院内での午前診の後、午後診開始の夕方までの間に在宅往診を行っていました。
ここでの私の仕事は在宅往診ではなく、鍼灸院内での院長の治療の助手が100%です。これは希望として絶対条件でしたので、在宅の研修ならこちらでのバイトに応募することは無かったので元から在宅往診の随行は一切無しです。
こちらは鍼灸専門院ですので、基本は鍼灸治療がメインで、ホームページの説明では「経絡治療」とありましたが、院長がマッサージ師でもあることからか何なのかは不明ながら、実際の治療では解剖学的な鍼治療、電気鍼も多く取り入れていました。もちろん症例によっては経絡を意識した鍼治療とか、経穴(つぼ)の効果を狙った経穴(けいけつ)への鍼治療、灸治療も広く取り入れいました。
また患者さんによってはマッサージ併用の鍼治療を行っていました。ですのでこれはいわゆる「折衷スタイル」の鍼灸治療です。(ネット上の鍼灸院情報では少数派のようですが、、)
それとですが、これは「二天堂鍼灸院の研修内容の解説/二天堂鍼灸の見学研修で受けた技術指導の内容」のところでも触れていますが、こちらKK鍼灸院での解剖的鍼治療では、時に中国の芒鍼(ぼうしん)という長い鍼を使う鍼治療を行っていて、私も実際にこれを見ることができました。具体的には、僧帽筋(肩井=膏盲)の横刺、背部起立筋へ横刺、腰部深刺(大腰筋)、臀部(梨状筋)です。中国の長い鍼を使った鍼治療の技術は、業界内ではかなりの少数派の鍼治療(2004年当時)ですので、私がKK鍼灸院で長鍼や芒鍼を使った鍼治療を見ることができたことはかなりラッキーなことでした。
それと頻繁ではなかったのですが、日曜日には勉強会も開いてくださりそこで技術指導を受けることもありました。
またこのKK鍼灸院の研修生にはもう一人私と同じ鍼灸学校の先輩がいて、その先輩のクラスメイトが私の別の時期の研修先で一緒になっていたことなどあり、勉強法や研修面だけでなく、業界知識に関してそれらを通じて広く情報交換をすることができ、ある種の副次効果、学際効果も同時に得られていたように思います。
それからKK鍼灸院院長は、短期ではありますが中国に研修に行かれたこともあります。そしてある日、院長から古い鍼灸雑誌(1980-1990年代)を20冊ほど譲り受けることができ、その中から「腰痛治療に長い鍼を使用する中国鍼の症例報告」や「中国鍼と称する多刺施術(20本程度)の治療症例の報告記事など」を確認することができました。当然これを機に私は徐々に中国鍼の分野に興味を深めることになりました。
またKK鍼灸院が開業した時期は北京堂が島根の自宅で開業した1990年よりも数年以上も前であり、私が研修バイトでお世話になっていた当時の2005年はKK鍼灸院は開業して約20年になっており、なおかつ院長は当該地域業界団体の副会長でもありますので、経験年数的にも業界の集合知レベルでも、常識的に考えて「木下春都の著作」や「大腰筋の刺鍼研究」を知らないはずがないと思われます。
とにかくこちらでの研修は、午前診のみではありましたが、週6回毎日出勤して約1年間研修させていただきました。 午後から学校の授業がありましたので研修は午前診のみでの出勤でしたが、研修としては十分に価値があるものでした。
KK鍼灸院での研修は午前診だけでしたので、午後からは以前からの整体院のバイトをそのまま続け、これと掛け持ちで勤務していました。
ちなみにこちらの鍼灸院は自宅から片道20kmほどでしたが電車通勤が不可能な立地でしたので100%バイクで通勤をしていました。
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「鍼灸整骨院」での研修バイト
この後3年次からは大型スポーツクラブ内にあるK鍼灸整骨院で研修バイトをはじめました。こちらで採用が決まったのは私のあるスポーツの長期経験があったことが大いに関係していると思われます。
また、こちらの院長は元ボディビルダーでありボディビル大会の審査員の経験者でもあり、別のスタッフでも現役ボディビルダーがいるほどの環境であり、詳細は省きますがこちらの鍼灸整骨院の治療方針は一般的な整骨院とは一線を画す内容でありました。
当方はこの院では鍼灸と整骨助手をしながら研修を積み、最終的にはジム内でマンツーマンのトレーニング指導を担当させていただくことができました。
このK鍼灸整骨院からは、鍼灸学校卒後に正社員スタッフとして採用のオファーをいただいておりましたが、最終的に鍼灸を極めるために中国へ留学をすることになり、そのオファーをお断りさせていただきました。
2件目のKK鍼灸院を3年次も続けずに退職した理由ですが、これはK院長は、当方を将来的に在宅往診スタッフの要員として採用することを希望されていて、それは私の目標、成長すべき方向性と一致しないため退職するに至ったということでありました。もちろんこちらでの研修はかなり良い経験になりました。
まとめ
以上のように、当方は、鍼灸学校以外にも、当方独自ルート(研修目的のバイト)の研修と独自研究により、技術習得に尽力してきております。
深刺しの刺鍼技術につきましても、「大腰筋」だけでなく、「腸骨筋」も「肩甲下筋」「顎周囲、翼突筋」なども、2006年に神戸の二天堂鍼灸院に来る以前の学生2年時(2005年)の段階からすでに練習を重ねており、学生3年次(2006年)にはすでに習得ができていました。
なぜなら、もちろんこれは2005年春の北京堂での見学のおかげもありますが、当ページ内ですでにお伝えしていますとおり、当方は北京堂見学よりも前の時点、2004年の学生2年次には京都市内のKK鍼灸院で研修バイトを開始しており、そちらですでに中国の芒鍼(長い鍼)治療を見ていましたので、2年次の早い段階で長い鍼を使う治療法を知ることとなり、以後、自主研究と訓練を開始していたからです。
なので、私が2006年春に二天堂研修に来たときは、北京堂式の鍼管交換方式の3寸(9センチ)鍼の刺入法は採用をせず、それよりも難易度が高い中国方式で3寸鍼を大腰筋や殿筋に刺鍼する技術をマスターしていました。
( 図A: 中国式の参考資料 )
( 図A: 刺法灸法学P83 / 中国の教科書 )
ここで少し余談ですが、一時ネット上で「つまみ肩井鍼法」は「北京堂のオリジナル技術だ」のように説明を行っている鍼灸院がありましたが、これは事実ではありません。
(*肩井というツボがある僧帽筋を術者が指でつまんで膨らんだ状態にして肩井に鍼を打つ技法)
当然ながら、「長い鍼」を使う「深刺しの刺鍼技術」も北京堂や二天堂鍼灸院だけに伝わっている訳ではありませんので、それ自体をオリジナルアイディアのように独占を主張できる技術でもありません。長い鍼を解剖的に深く刺す刺鍼技術や解剖学的知識に基づく鍼治療は、主に西洋医学が伝来してから日本の他の鍼灸師の間にでもそれなりに知られていてまた採用もされきていました。またそれらを証明する資料や書籍も多数存在しています。
それから、当方が学生2年次にお世話になったKK鍼灸院には、当方以外に正式スタッフとして当方と同じ鍼灸学校卒業生が3人在職されていましたので、当方がKK鍼灸院で見た長鍼(芒鍼)使用の施術も含めた治療内容全般は、理論上、当時のスタッフ(第三者)からも確認(証人として)が取れる状況となっています。
その他、鍼灸学校での研修では、実習時間中の学生同士の相互練習、学校附属の治療院での臨床研修(当時は義務化されておらず導入校は比較的少数)を受けております。この他、学外の空き時間の卒業までの3年間では、症状のある親戚、友人にも出張してできるだけ多数の治療を行ってきていました。
卒業後の中国留学中でも、長鍼含め多数の実技指導を受け、学外でも練習と現地学生、駐在員にも治療もしてきました。(当ページでは中国留学中の研修内容の詳細は省略いたします)
以上、当方は鍼灸学校入学から開業までのトータル6年間、学術面、技術面共にみっちり研鑚してきております。
これまでお世話になりましたすべての先生方にはこの場をお借りして改めて感謝申し上げます。
このページでの説明は、「私個人の技術習得の経歴と技能レベルの程度」と「技術継承の状況」を紹介するものであり、他の人の修行方法を変えるとか、教育制度を変革するための情報発信ではありません。
この説明内容を根拠にして他の鍼灸院や鍼灸学校に対して批判や苦情を入れないようにしてください。
どうか、よろしくお願いいたします。